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桜咲く地の気まぐれ日記

管理人の半暴走日記です。勢いのまま書いてることもあるので支離滅裂でも生暖かい目で見てくださいな。

RSE物語― デボン・コーポレーション Ⅲ ―

版権-RSE物語 版権

男はアゴに手を添える。

「ん〜?そりゃ男かい?もしかして」

男の反応に、ユウキの目に期待の色が宿った。

 


「はい。スーツを着ていたと思うんですけど。あとカバンを持っていたはずです。このくらいの・・・」

ユウキが手振り付きでさらに詳しい説明をすると、男が得心したように頷いた。

「そいつなら見たぞ。坊主が来る少し前にオレの前をすごい早さで通りすぎてってな。あっちの方に行ったぞ。うん、そう――カナシダトンネルの方だ」

「カナシダトンネル・・・?」

ユウキは出てきた単語に眉をひそめた。

前にニュースでやっていたので知ってはいるが、記憶が正しければそのトンネルは今―――。

ユウキは頭をひとつ振ると、男に礼を言ってその方向に走り始めた。今考えるのはそんなことではないからだ。

草むらをかき分けひたすら進んでいくと、建物が見えてきた。トンネル工事が行われるときに建てられた、簡易休憩所だ。

その建物の前に、人が二人何か言い争っていた。

一人はトウカの森で出会った奴らが着ていたのと同じ服を着た男。盗んだカバンも持っている。

もう一人は、キャモメを連れた見知らぬ老人だった。

「いいからどけっ!この老いぼれが!」

「そんな鬼気迫った顔をされてもなぁ。このトンネルはまだ繋がっとらんと言っとるだろが。のお、ピーコちゃん」

キャモメはどうやら“ピーコちゃん”と言うらしい。いやそれより、老人の言葉にユウキはやっぱりと内心納得した。

カナシダトンネルは途中まで機械で掘り進んでいたのだが、中に住む臆病なポケモンたちが機械の音に怯え始めた。ポケモンを怖がらせるのいかがなものか、と工事はそこに住む野生ポケモンたちのために中止されたのだ。

今は機械を使わずにトンネルを掘る方法を模索していると言ったところか。

ユウキは男に一歩近づいて声を張り上げた。

「そこのご老人の言う通りだ。トンネルは向こう側まで貫通していないよ。さあ、荷物を返してください」

男は振り返り舌打ちして毒吐いた。

「ちっ、もう来やがったか」

ユウキはいつでもボールを持てるように構える。

男はユウキと老人を交互に見やり―――

ドンッ!

いきなり老人にタックルをかけた。

「ぅぉうっ!」

老人はよろめき、しりもちをつく。その周りからキャモメの姿が消えていた。


「おいそこのガキ。コイツに危害を加えられたくなきゃあきらめな」

「ピーコちゃん!」

男の腕の中に収まっているキャモメの姿。老人が取り替えそうとするも、あっさりかわされる。

ユウキは歯噛みした。沸々と怒りが込み上げてくる。