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桜咲く地の気まぐれ日記

管理人の半暴走日記です。勢いのまま書いてることもあるので支離滅裂でも生暖かい目で見てくださいな。

RSE物語―カナズミシティ Ⅱ ―

版権-RSE物語 版権

カナズミシティでハギ老人と別れたユウキは、デボン・コーポレーションに戻ってきた。

建物の中に入ると、社内は騒然としていた。当たり前だ。会社にとってとても大事なモノが盗まれたのだから。

「おお、ユウキくん!」

 


受付近くにいたツワブキ社長がユウキの姿に気付き、駆け寄ってきた。

「社長、殴られたところは大丈夫ですか?」

「ああ、大したことはない。それよりも―――」

ツワブキ社長はそれより先は言わなかったが、言わずともユウキにはわかった。彼は自然と顔を俯けた。

「……ごめん、なさい」

意気消沈し、絞りだして掠れた声にツワブキ社長はユウキの心情を察して肩を叩いた。

「気にしないでくれ。私にもっと見抜く力があればよかったんだ」

「ですけど!」

「先程保管場所の前で気絶して倒れている社員が発見された。なんとなくだが奴らがとった一連の行動はわかっている」

だから、とツワブキ社長は続けた。

「君だけの責任ではない。いや、君の責任なんかではない。全て私の責任だ」

「社長……」

ツワブキ社長はユウキに向かってすまなかったと頭を下げてくる。

ユウキは慌ててツワブキ社長の頭を上げさせる。

わかっている。責任はツワブキ社長だけにあるわけではないことを。自分だって同じだということを。

「役に立たなくて、すみませんでした」

ユウキは深々と頭を下げた。

「気にしないでくれ。盗まれてしまったものは、もう仕方がない。また一から作り直すつもりだよ。―――ユウキくん。君は旅をしてると言っていたよね」

「はい」

「これから行く先は決まってるのかい?」

ユウキは首を振った。トウカの森からカナズミシティまでは、何も調査せずに来てしまっている。そこの分布調査を終えてから、と考えていた。

正直にそのままを言うと、ツワブキ社長はそれでは、と話を切り出した。

「ムロタウンとカイナシティに行ってくれないだろうか」

「ムロとカイナに、ですか?」

「今、ムロに滞在しているダイゴという人と、カイナにある造船所に私が今から書く手紙を渡して欲しいんだ。頼んでもいいだろうか?」

ツワブキ社長の頼みに、ユウキは首を縦に振った。

「はい。それで、ボクがお役に立つなら」

「ありがとう」

話が一段落して、ふと外を見ると、もう日が山向こうに消えてしまっていた。

「こんな時間じゃはもうどこも部屋は空いてないだろう。今日は私の家に泊まっていきなさい」

ツワブキ社長の申し出に、悪いとは思ったものの、確かにこの時刻ではポケモンセンターも空いていそうにない。ユウキはその申し出を受けることにした。